確定申告に必要なものと税制の変更点(令和元年分)
令和元年の確定申告は、3月16日までです。
令和になって最初の確定申告であることに加え、税制改革などもあり申告に関して変更点もあります。
申告をスムーズに終わらせるためにも事前に知っておきたいポイントをご紹介します。
確定申告に必要なもの
確定申告を提出するにあたっては、以下のものが必要となります。
本人確認書類
住所や氏名を確認するため、本人と確認ができる書類を提示します。
マイナンバーカードを持っている場合はカードを提示するだけで確認ができます。
ただしマイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知書と合わせて本人確認ができる書類を提示する必要があります。
確認書類としては、運転免許証・公的医療保険の被保険者証・パスポートのほか、身体障害者や在留カードなどマイナンバーの持ち主であることを証明できるものが必要です。
印鑑
確定申告の書類に捺印が必要です(提出書類のうち2種類)。
本人が作成し提出したことを証明するためのものなので、経年劣化するシャチハタは不可となっていますので注意が必要です。
印鑑として有効なのは実印、もしくは銀行印か認印でも可とされています。ただし還付金を銀行振込にする場合は銀行印も必要です。
申告書
確定申告に必要となる、国税庁が公開しているフォーマットの書類です。
税務署でも配布されています。申告は紙で書類提出する方法と、e-Taxを使って電子申告する方法があります。税務署での申告は、用意されたパソコンに入力し申告する電子申告です。
また自宅から電子申告する方法、紙で書類を作成して税務署に郵送する方法もあります。
口座番号がわかるもの
確定申告で税金が還付される場合・口座振替で納付を行う場合に、希望する銀行の口座番号が分かるものと銀行印が必要です。
所得を明らかにできるもの
確定申告の書類では計算した後の数字しか記載されません。そのため所得を証明するための書類が必要となります。
所得は10種類に分類されていますのでそれぞれ所得があれば書類が必要となります。
- 事業所得(自営業で生じる所得)
- 不動産所得(土地や建物などの貸付で生じる所得)
- 利子所得(預貯金などの利子による所得)
- 配当所得(配当や投資信託の収益分配などで生じる所得)
- 給与所得(給与や賞与など)
- 雑所得(公的年金や先物取引などに係わる所得)
- 譲渡所得(機械や土地、株式などを譲渡したことによる所得)
- 一時所得(保険の一時払いや賞金などの所得)
- 山林所得(山林を譲渡したことなどによる所得)
- 退職所得(退職金や老齢給付金などの所得)
給与であれば源泉徴収票、自営業などの場合は決算書などが該当します。
控除を受けるための証明書類
生命保険や火災・地震保険の控除、医療費控除、住宅を購入した人は住宅ローン控除などを受けることができます。
保険会社や金融機関から控除に必要となる書類が郵送されますので忘れずに提出しましょう。
また医療費控除の場合は領収書ではなく支払った金額の合計、もしくは加入している保険組合から送られる医療費明細書の提出が必要です。
個人事業主が確定申告を行う場合
確定申告書にはAとBの2種類があります。確定申告書Aは項目が少なく、Bの方には項目が多く記載されています。
どちらを使っても問題はないのですが、年末調整を会社でしてもらっているサラリーマンや年金所得者の場合はA、個人事業主や株などの所得がある人はBを使うようにしましょう。
どちらか分からない場合には税務署で教えてもらえます。
ここでは個人事業主が確定申告する場合のポイントをご紹介します。
青色申告の場合
個人事業主が確定申告をする場合、メリットが大きいのは青色申告です。
青色申告では特別控除が65万円まで受けられます。
ただし細かい帳簿付けが必要となり、損益決算書とその内訳、貸借対照表の提出が必要です。
白色申告の場合
個人事業主になったばかりの人であれば、白色申告が便利です。
収支を計算して収支報告書を作成する必要がありますが、細かい帳簿は必要ありません。
ただし控除が10万円までなので思った以上に売上があった場合などは損をすることもあります。
白色・青色共に年間での収支や控除に関連する書類は一定期間保管が必要となっています。
(帳簿書類については青色申告は7年、白色申告は5年)
会社員が確定申告を行う場合
会社員の場合は、基本的に確定申告をする必要はありません。ただし以下の場合は年末調整を会社でしてもらった上で、確定申告をする必要があります。
- 医療費控除を受ける場合
- 住宅ローン控除を受ける場合(住宅を購入して最初の確定申告時のみ申告)
- ふるさと納税をした場合(ワンストップ特例を受けられない人、医療費控除の申告をする人が申告の対象。ワンストップ特例はふるさと納税が5箇所以下で確定申告が不要になるもの)
- 寄付をした場合
年末調整ではしてもらえない控除の申告は、個人でする必要があります。
税制改正(令和元年分)による確定申告に際して提出不要になったもの
令和元年の税制改革により、今回の確定申告から以下の書類は提出が不要となりました。
- ①給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
- ②オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
- ③配当等とみなす金額についての支払通知書
- ④上場株式配当等の支払通知書
- ⑤特定口座年間取引報告書
- ⑥未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
- ⑦特定割引債の償還金の支払通知書
これらの書類が提出不要となったのは、すでに支払っている企業側から書類の提出が済まされており、それを個人が再提出する形となっているものです。
ただし提出は不要であっても、確定申告書に記入する際には記載事項を書き写す必要がありますので、申告時には準備しておくようにしましょう。
またe-Taxでは記載事項を入力することで提出は省略されており、今回の大きな変更点は、紙の申告も電子での申告も同じ扱いになったということになります。
e-taxとは!?
e-Taxとは、国税庁が運営しているオンラインサービスのことで、正式には「国税電子申告・納税システム」と呼ばれています。
インターネットで申告が可能なことに加え、平成27年からはスマートフォンでの申告も可能となりました。
e-Taxでは「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」のどちらかで申告ができます。
さらにe-Taxを利用する場合、以下の4つのメリットがあります。
1.自宅から申告が可能
税務署に行く必要がありません。
2.添付書類の提出が不要
控除書類の添付が費用です。記載事項を記入するだけで申告が可能となっていますが、提出を求められることもあるため保存は必要です。
3.処理が早い
3週間程度で処理をしてもらえるため、還付手続きをすぐしてもらえます。
4.24時間受付
確定申告の期間中は、24時間申告が可能です。ただしメンテナンスが行われる時間帯を除きます。
まとめ
確定申告では、所得や控除を証明する書類を揃えるなど準備が必要です。
税制改革により源泉徴収票の提出は不要になりましたが、提出書類の作成には必要なので以前より申告の手間が少なくなったかというとそれほどでもないのが現状です。
限られた時間内で書類作成をするのは大変です。税に関する専門家である税理士に依頼すれば、確定申告にかかる時間をカットすることができます。
ぜひこの機会に税理士に相談してみてはいかがでしょうか?
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