決算賞与で節税対策する際のメリット・デメリット

掲載日:2017年08月28日(月)(更新日:2017年8月28日)

利益を多く出すことができたことで、税金を多く支払わなければならなくなった…。
このようなときには、「決算賞与」で節税対策を行うという方法があります。ここでは、決算賞与で節税対策する際のメリット・デメリットについて、ご紹介します。

そもそも決算賞与とは?

決算賞与というのは、その年の業績がよかった場合に、決算の前後に支給する賞与のことで、必ず支給しなければならないものではありません。しかし、通常のボーナス以外にこの決算賞与を支払うことで、社員たちのモチベーションが上がるため、この制度を導入するところも多いのです。

また、この決算賞与、実は損金として計上することができます。決算時に予想以上の利益が上がってしまうと税金が高くなってしまいますが、決算賞与を支給すれば利益を減らすことができるので税金が安くなります。

詳しくは後述しますが、このようなメリットがあるのが決算賞与。

「利益を税金として支払うことよりも、働いて頑張った社員に還元する方を選択したい」という企業におすすめの方法といえるでしょう。

決算賞与を今期の損金として計上するための要件

決算直前にその決定を行うことになるため、支払う資金の調達が難しいことがありますが、以下に挙げる要件を満たしていれば、仮に未払いであっても今期の損金として計上することができます。

  • 1.同一時期に支給する全ての従業員に対し、支給額をひとりひとりに通知していること。
  • 2.決算の一ヶ月後までに、通知した金額を通知した全員に支払うこと。
  • 3.今期中に、通知した金額について損金として経理処理を済ませていること。

このように、金額の支払いは決算後一ヶ月以内に行えば問題ありませんが、決算賞与の通知をしたにもかかわらず辞職のため支給を受けられなかった人がいた場合、全ての人の損金を今期に計上することができません。その他にも今期に計上できないケースがありますので、詳細は税理士に確認するようにしましょう。

決算賞与のメリット

決算時に決算賞与の支給を決定することにより、会社は2つのメリットを得ることができます。

<メリット1>今期の節税ができる。

決算賞与全員分を損金として処理することができるので、大きく節税することができます。

たとえば、1,500万円の利益を出した会社が、社員に500万円の決算賞与を支払ったケースを考えてみます。

税率を40%とした場合、決算賞与を支払わなければ、600万円(1,500万円×40%)の税金を納めることになりますが、決算賞与を支払うと、利益は1,000万円(1,500万円-500万円)なので、税金はその40%である400万円となり、200万円もの節税になります。

<メリット2>社員のモチベーションが上がり来期の成長につながる。

決算賞与を支払うので利益は少なくなりますが、その分、社員がやる気を出してくれれば、来期、さらに利益を上げることにもつながります。

決算賞与のデメリット

メリットのところでも少し触れましたが、実際にはデメリットもあります。

<デメリット1>毎年、社員が決算賞与の支給を期待する。

一度決算賞与を支払うと、社員は「またもらえるだろう」と毎年期待することになってしまいがち。
思ったほどに利益があがらなかった場合は、決算賞与を支払うことができず、逆にその年は社員のモチベーションが下がってしまうことも考えられます。

<デメリット2>利益として残るお金が減少する。

確かに節税をすることはできますが、結果的に会社に残る利益は減少してしまいます。
上記の例で考えると、決算賞与を支払わなければ、実質会社が支払うお金は税金600万円のみですが、決算賞与を支払う場合は決算賞与500万円と税金400万円の両方を支払うことになるため、トータルで900万円を支払うことになります。
結局、300万円分を多く支払うことになりますので、十分に検討する必要があるでしょう。

節税対策として決算賞与は有効?

ご説明したように、決算賞与を支払うことにはメリットとデメリットの両方が考えられるため、慎重に長期計画をきちんと立てて判断する必要があります。
確かに節税対策にはなりますが、支給額をきちんと計算して決定しなければ、手元に残るお金が少なくなってしまうからです。
また、場合によっては来期の従業員のモチベーションを下げることにもなってしまいます。

現金をどの程度残すのかをしっかり判断し、また、社員に過度な期待をさせないために支給のめどとなる一定の基準を設けておくようにするなど、慎重さを忘れないことが大切です。

また、未払いでも損金として今期に計上できますが、万が一、税務調査が入ることも踏まえ、通知などは書面で行う、振込は銀行振り込みで行うなど、証拠をきちんと提示できるようにしておきましょう。

最後に

杉並区の税理士事務所「佐野伸太郎税理士事務所」では、会社の節税対策などのご相談を承ります。
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