消費税率引き上げで今の取引は大丈夫か?

掲載日:2019年05月21日(火)(更新日:2019年5月21日)

消費税の引き上げが世間に波紋を呼んでいますが、消費税が会社の収入になることはありません。
むしろ消費税の転嫁をきちんと行わなければ取引で得たはずの利益を削ることになってしまいます。
こちらでは消費税の引き上げがいつからスタートするのか解説します。

消費税率引き上げはいつから?

消費税が8%から10%に引き上げられます。元々は2015年に引き上げられる予定でしたが延期を重ね2019年10月より執行されることとなりました。

具体的な執行日は2019年の10月1日です。逆にいえば2019年9月30日までは消費税8%のままです。消費税が引き上げられるより前に高い消費税率を掛けてしまわないようご注意ください。

また、取引の全てが2019年10月1日をもって消費税10%になるわけでないところも難しいところです。
まず10%の消費税にならないものは飲食料品(食品表示法に規定する食品)と新聞です。これらの品目は軽減税率制度のもと消費税が8%で据え置きされます。

そして、次に知っておくべきが経過措置です。

消費税率引き上げに伴い経過措置になる取引がある

経過措置とは消費税の引き上げが急に行われ契約との不合理が発生しないようにするためのものです。
もう少しわかりやすく説明するならば消費税引き上げの執行日をまたぐ契約および支払いについての消費税を決めたものです。
経過措置が適用される期間においては2019年10月1日以降の支払いでも8%の消費税となります。

経過措置は消費税や法人税を不当に安くあるいは高くすることを防ぐためのものですから、あくまでも権利でなく義務です。

経過措置が適用されるものは旅客運賃や電気料金、貸付、役務提供など次の資料にある10種類です。

中でも請負・貸付・特定役務の提供はクライアント企業だけでなくグループ企業の間でも一般的に行われています。
そのため、自覚がないうちに消費税の計算を間違える恐れがあるのでご注意ください。
もし、経過措置をお得に使いたい場合は契約日だけを調整するのでなく細かい要素まで制度の要件を満たすようにしてください。
制度変更の時期は何かと混雑しがちですから一度顧問税理士に確認されることがおすすめです。

経過措置の対象となる期間を過ぎればすべての契約が消費税10%で取引されます。
少なくとも契約日あるいは定期契約を行った日が2019年10月1日以降であれば経過措置の問題は論点とならなくなります。 

実際に経過措置される取引

ここでは具体的にどんな場合が経過措置の対象となるのか4つの内容をピックアップして紹介します。これらは特に多くの企業が気をつけるべきものです。

  • ①請負工事等

請負工事に関しては2013年10月1日から2019年3月31日まで締結された契約に基づき2019年10月1日以降に課税資産の譲渡等がされた場合に経過措置を適用します。消費税の引き上げ執行日以前全ての契約に8%の税率が適用されない点にご注意ください。

ちなみに、課税資産の譲渡に経過措置が適用される場合はそれについて書面での報告が必要となります。工事といっても製造業だけでなく測量やソフトウェア、服飾などについても同様です。

  • ②資産の貸し付け

資産の貸付については2013年10月1日から2019年3月31日まで締結された契約に基づき2019年10月1日以前から継続した貸付があった場合に経過措置を適用します。

資産の貸付について経過措置が適用されるためには、契約で対価の額が決められていてかつそれを自由に変更できないあるいは解約の申入れができない状態であることが求められます。こちらは請負契約と異なり施行日以前からの継続貸付が必要である点に注目したいですね。

リース契約は所得税法や法人税法で売買として扱われることが原則であるため経過措置が適用される場合は少ないです。

  • ③予約販売に係る書籍等

本の販売も予約による場合契約の成立と商品の引き渡しおよび支払いに時間差が生じますね。書籍については2019年4月1日以前に契約が成立し、かつ2013年4月1日から2019年9月30日までに料金を領収したが引き渡しが2019年10月1日場合に経過措置を適用します。

消費税引き上げ以前に書籍の譲渡まで終わらせた場合は、そもそも経過措置が論点となりません。また、新聞については軽減税率が適用されるのでやはり経過措置の対象となりません。

  • ④通信販売

通信販売については2019年3月31日までに価格などの条件を提示したものについて2019年9月30日までに申し込みを受け、2019年10月1日以降に商品を引き渡す場合が経過措置の対象となります。

通信販売も書籍の予約販売も不特定多数の人に販売価格や条件を提示していることが求められます。また、消費税引き上げの施行日以外にも経過措置の分かれ目となる指定日が定められている点にご注意ください。




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