インボイス制度について簡単に解説!登録申請の方法・手順も解説します

掲載日:2024年07月12日(金)(更新日:2024年8月21日)

2023年にいわゆるインボイス制度が開始され、請求書のフォーマットや会計処理の流れなど、さまざまな変化に対応していく必要があります。インボイスを発行するためには大前提として申請手続きを行って適格請求書発行事業者にならなければなりません

基本的にインボイス制度に対応するかどうかは任意であり、事業者の判断に委ねられます。しかし、取引先からインボイスの発行を求められている事業者の方も少なくないかと思います。

この記事では新たにインボイスに対応しようと思われている法人経営者・個人事業主の方、あるいはこれから起業される方のために、インボイス制度の概要や登録申請手続きの流れについてわかりやすくご説明します

インボイス制度とは?適格請求書発行事業者になる方法

インボイス制度とはインボイス(適格請求書)を売り手が買い手に発行し、双方がそれを保存することで、消費税の仕入れ控除が買い手に適用されるという制度です。正式名称は「適格請求書等保存方式」といい、2023年10月からスタートしました。

2024年7月現在、日本の消費税率は10%ですが、食料品や新聞の定期購読など一部の商品には8%の軽減税率が適用されています。買い物をする際、場合によっては10%の商品と8%の商品が混在することもありえます。そこで、どの商品にどの税率が適用されているか?支払う金額のうち消費税がいくらかかっているのか?消費税額を正確に買い手に伝えること、消費税の計算ミスや申告間違い、不正などを防ぐことを目的として、このような制度が導入されたのです。適格請求書には税率(10%と8%)ごとに代金とかかった税額を記載する必要があります。

なお、適格請求書は誰でも発行できるわけではありません。適格請求書発行事業者になるためには国税庁への登録申請を行い、登録番号を発行してもらう必要があります。この登録番号が適格請求書に記載されていないと、買い手に仕入れ控除が適用されなくなってしまうのです。

なお、適格請求書発行事業者になる場合、必然的に課税事業者となります。これまで免税事業者だった方がインボイス制度に対応するとなると、新たに消費税の納税義務が発生することになるため、登録申請は慎重に検討しましょう。

インボイス制度の登録申請方法は3種類

インボイス登録を申請するには主にパソコンを使ってe-Taxで申請する、スマホを使ってe-Taxで申請する、書面で申請するという3通りの方法があります。ただし、インボイスの登録申請をしたとしても、すぐにインボイスが発行できるわけではないことには注意しましょう。2024年5月27日現在、e-Tax(パソコン、スマホ)の場合は登録番号が記載された登録通知が届くまで約1ヶ月、書面の場合は1.5ヶ月かかります

適格請求書発行事業者の登録申請に必要なもの

インボイスの登録申請の際には以下のようなものを準備しましょう。

【パソコン・スマホで申請を行う場合】

  • ・マイナンバーカードの電子証明書
  • ・利用者識別番号(16桁の番号です。e-Taxで取得します)

【書面で申請する場合】

  • ・適格請求書発行事業者の登録申請書(国税庁のホームページから書式をダウンロード可能)
  • ・本人確認書類(マイナンバーカードなど)

e-Taxで申請を行う際にはマイナンバーが必要となります。マイナンバーカードか通知カードを手元に準備しておきましょう。

適格請求書発行事業者の登録申請の登録手順

それではここからはインボイスの登録申請手続きの流れを、方法別にご紹介します。

【パソコンで申請を行う場合】

1.電子証明書の取得
パソコンを使ってe-Taxでインボイスの登録申請を行う場合は、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要となります。手続きを行う前に、まずは電子証明書を取得しましょう。方法については電子証明書の取得でご確認ください。

2.ソフトの準備
申請にあたってはe-Taxのソフトが必要ですe-Taxソフトについてからダウンロードしてパソコンにインストールしておきましょう。なお、WEB版でも申請手続きが可能です。詳しくはe-Taxソフト(WEB版)についてをご覧ください。

3.登録申請手続きを行う
e-Taxソフトもしくはe-TaxソフトWEB版を開いて申請データを作成します。画面に表示される指示に従って進めれば問題ありません。

4.登録通知
一連の手続きが完了しましたら1ヶ月程度で「登録通知」が届きます。こちらはe-Tax上で確認できるほか、メールアドレスを登録しておけば通知メールが届きます

【スマホで申請を行う場合】

1.e-Taxソフト(SP版)にログインする
国税庁のe-Taxソフト(SP版)にアクセスしてログインします。なお、その際にマイナンバーカードの読み取りが必要となります。あらかじめスマホにマイナポータルをダウンロードしておきましょう。

なお、スマホの場合は国内の個人事業主のみが対象となります。それ以外の方はパソコンか書面で申請手続きを行いましょう。

2.利用者識別番号の取得
e-Taxソフト(SP版)にはじめてログインされる場合は利用者識別番号の取得・登録が必要となります。画面の指示に従って必要事項を記載して手続きを進めましょう。

3.登録申請手続きを行う
e-Taxソフト(SP版)の「登録申請手続き」を選択します。画面に表示される指示に従って進めましょう。その後、申請データを送付します。手続きが完了したら電子署名の付与画面が開きますので、マイナンバーカードを読み取ります。

4.登録通知
登録申請手続き後はパソコンの場合と同様1ヶ月程度で「登録通知」が届きます。

【書面で申請する場合】

1.テンプレートをダウンロードして申請書を作成する
書面で申請する場合は国税庁のホームページから申請書をダウンロードします。手続きには「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(次葉)」の2種類の書類が必要です。いずれも以下のページからダウンロードできます。また、申請書の書き方についても詳しく解説されています。

D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)

2.本人確認書類の写しを作成する
個人事業主の場合は上記の申請書に加え、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類の写しが必要です。

3.インボイス登録センターに郵送する
申請書類と本人確認書類の写しを作成したら所管する税務署のインボイス登録センターに郵送します。郵送先の住所は各局(所)インボイス登録センターのご案内でご確認ください。

なお、インボイス登録申請書は税務署に直接持ち込んでも対応できません。必ず郵送で提出しましょう。

4.登録通知
書面で登録申請手続きを行った場合、1.5ヶ月程度で「登録通知」が届きます。なお、希望すればe-Taxで登録通知を確認することも可能です。

適格請求書発行事業者申請の相談窓口

以上でインボイス制度の概要や登録申請手続きの流れについてご説明しました。まだ開始されて間もない制度で非常にわかりにくい面も多々あるため、手続きや会計処理で戸惑われることもあるかもしれません。

国税庁では「インボイスコールセンター(インボイス制度電話相談センター)」を開設しています。登録申請手続きやインボイスに記載すべき内容、軽減税率の対象品目などについて相談することができますので、これらについて不明点があれば問い合わせてみましょう。

まとめ

2023年にインボイス制度が開始され、消費税控除を受ける場合は売り手にインボイスを発行してもらわなければなりません。インボイスを発行するためには今回ご紹介した流れで登録申請手続きを行い適格請求書発行事業者になる必要があります。登録通知が届いてインボイスを発行できるようになるまでには1~1.5ヶ月かかるので、早めに手続きを進めましょう。

なお、インボイスの登録は任意です。すべての事業者がインボイス登録しなければならないというわけではありません。適格請求書発行事業者になるということは消費税の納税義務を負う課税事業者になるということなので、あえてインボイス登録をしないという選択肢もあります。インボイス登録をしようかどうか迷われている事業者の方、あるいはこれから起業される方は、佐野伸太郎税理士事務所にご相談ください。ご状況に合わせてアドバイスさせていただきます。

また、当サイトでは今後も事業者の方向けにインボイス制度に関する情報を定期的に発信していきますので、ぜひそちらも参考にしてください。


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代表税理士の佐野伸太郎です。
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