役員報酬の決め方は?適正価格とは(会社設立時)

掲載日:2017年06月26日(月)(更新日:2020年7月22日)

役員報酬会社を設立し事業をスタートする際に決定しなければならないことのひとつに、役員報酬があります。 この役員報酬を適当に決めてしまうと、あとで後悔する事態に陥る可能性があるので注意が必要です。 なぜなら、「会社の税金に大きく影響する」「細かいルールがあり途中で変更できない」などの理由があるからです。 そこで、起業家の皆さまに、役員報酬の決め方について詳しくお伝えします。

役員報酬とは?

一般的に、役員報酬はどの会社においても綿密に計算したうえで決定されています。役員報酬は、その全てを税法上経費にできないのが原則。そのため、不用意に高額に設定してしまうと利益が増えることになり法人税の額が高くなってしまいます。

このようなことにならないようにするためにも、役員報酬はあらかじめ税法上の制限の範囲内で決定する必要があります。また、報酬として支払うものに対しては源泉所得税などもかかることになるので、その点も踏まえて決定することが大切です。

役員報酬で損金(経費)として認められるものは?

将来的に税務署から税務上損金(経費)として認めないと指摘されないようにするためには、役員報酬を綿密に計算して決定する必要があります。そこで、役員報酬の中で、損金として認められるものを確認したうえで、決定していきます。

以下については、経費に算入することができます。

定額同額給与 毎月、1ヶ月以下の一定の時期に定額で支払われる報酬のことで、税務署に届け出る必要はありません。
事前確定届出給与 税務署に事前に届出を済ませ、その内容の通りに支給される賞与のこと。
利益連動給与 同族会社以外の法人(大会社)が、利益に基づいて支払う報酬(出来高など)のこと。
退職金役員報酬の決定期限を超えてしまった 退職時に支払われる報酬のこと。

その他、ストックオプション、使用人部分の給与などがあります。 上記の範囲内で役員報酬を決定する必要がありますが、重要なことは、次の2点。

  • 定期同額給与は、会社設立から3ヶ月経過してしまうと変更することができない
  • 事前確定届出給与の金額を決められた期日までに決定し、税務署に届けなければならない

これらを踏まえて決定することが大切です。

役員報酬の決め方

役員報酬はいつまでに決めればいいの?

定額同額給与 役員報酬は、会社を設立したときから3ヶ月以内に限り変更することが可能です。会社設立時はやることが多く、あっという間に3ヶ月が過ぎてしまうため、早めに決定することをおすすめします。
事前確定届出給与 所轄の税務署に、前もって「事前確定届出給与に関する届出書」を提出します。その期限は、新設した法人の場合、設立日から2ヶ月以内と決められています。

役員報酬はいくらにすればいいの?

役員報酬を増額すると社会保険料がアップし会社も個人も負担が増えます。また、法人の税金は減少しますが個人の税金が増加することになるので、適切な配分にすることが大切です。

役員報酬額をいくらにするかにより、個人の税額と会社の税額をトータルで見たときに税金の額が大きく異なりますので、詳細は専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

役員報酬を決定する際の注意

期限までに役員報酬を決められなかったら?

★3ヶ月を過ぎて報酬を変更すると増減させた報酬の一部は経費にすることができない。

  • 減額の場合

国税庁において、「職務内容に重大な変更など臨時改定があった場合の減額は可」「経営状況が悪化し、役員報酬を減額せざるを得ない場合は、経営状況の改善を図るために減額して損金算入ができる(細かい規定あり)」としていますが、このようなケースでない限り、原則的に認められていません。

定められた条件である「経営悪化」以外で減額した場合、たとえば、最初の4ヶ月は40万円を支払っていたが、5ヶ月目から30万円に減額したような場合は次のようになります。30万円分だけが報酬とみなされ損金扱いになります。そのため、最初の4ヶ月間は、10万円ずつ多く支払ったとみなされ、「10万円×4ヶ月」の40万円分は経費にすることができなくなります。

  • 増額の場合

「臨時改定」という理由があれば、年度途中での役員報酬を増額することができます。この場合の具体例のほとんどが、役職が変更になったケースです。上記以外の理由で増額した場合は、増加部分の報酬は経費として認められません。

役員報酬額を変更するためには】

設立当初、適当に設定し、事業年度の途中で変更したいと思う方が多くいますが、減額する場合も増額する場合も、その変更手続きは同様でとても面倒です。 まず、臨時株主総会を開催し、役員報酬変更を決定。それについて議事録を作成する必要があります。また、日本年金機構への変更の届出(被保険者報酬月額変更届)が必要となる場合もあります。 なお、定額同額給与変更の場合は、税務署に届け出る必要はありません。

役員報酬決定についてのご相談は、杉並区の佐野伸太郎税理士事務所へ

ご紹介したように、役員報酬を決める際には、複雑なルールに基づき算出する必要があります。また、期限が設けられているため、スムーズな決定が求められます。 しかし、起業した際は忙しく、役員報酬決定に時間を割くことができないもの。このようなことでお困りの経営者の方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

役員報酬はもちろん、税務顧問、決算申告サービスなど、面倒な業務をサポートさせていただきます。 杉並区にある私どもの税理士事務所でも創業手続きを代行することも可能ですので、お困りの際は、お気軽にご相談ください。




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